駄菓子屋さんがよかっての 　　
小学生に話しかけられたものの 　　
飛行機選びに夢中な自分は彼の投げかけに 　　
無意識に　うん　と言ってしまった 　　
ふと気がつくと彼はもういなくて 　　
きっとあの少年は３０年前のキオク 　　

洋菓子屋さんでびっくり 　　
「あたしなにやってんだろう」 　　
って台詞は漫画の中だけではないんですね 　　
「たいへんもうしわけありませんでした！！！！」 　　
あんなに前屈する女性初めて見ました 　　
青か茶か 　　彼女は青い目の男にノミコマレていたんだな 　　

ひろすぎる
ひろかった
ひろいんだね
ひろくてこわい

この門扉から見える向こう
ひろい空き地

あれは黒板
あれはタンク
あれは電圧機
あれはロッカー
あれは大戸棚
あれは印刷液
あれは木の根
あれは歩道橋
あれはトモダチ

帰り道は いつだって変わる
あの町の坂道は 絵の具が並んだかくれんぼ

何色もあるんだから一曲歌って帰ろ

あの町の時計店は
全部おんなじ時間をとおせんぼ
待ち合わせには このねじ巻きを持っていかなきゃ

今夜のみたく
静かな聖夜に

この門扉はひらいた


誰か閉めてください
ボクの帰り道には 閉まらないと困るんです

坂道のケンバンも
時計のゼンマイも
いりません



閉めてほしいですよ



ひろがりすぎたら

ボクのことが
わからなくなってしまう


この間で
寄り道をしていたいんだ


この門扉を越えて
忍び込んだのは
先生たちが
突然灯りをツケタからだ

ちょっと
だだっ広い空き地に立ってみたかっただけ
開けようなんて思いはしてなかったんだのさ


鈴をツケタ
ボクの体柱〜カラダに真っ白い雪が降る

重すぎるこの門扉〜ヨフケを越えたから溶けた雪たちにも
鈴を付けよう

ズキズキと痛みます
こんな夕焼け空の日は

古傷がカルテを捲るのです


左眼の奥に
閉まったまんまの授業を
キミの義手で
掻き回しておくれ


きっといつまでも
忘れないから

少しずつ
半分になる